【連載2回目】モータドライバの作り方 DCモータについて
一昨日くらいにぽぇ~って感じで記事書き始めたら,思ったより反響あったのでこれはそれなりに頑張って書かないと関係各所から鉞を曲げられて死ぬかもしれないと危機感に陥りました.
「はよモータドライバについて書けよ」という声も聞こえてきそうですが,気長に付き合ってください.
DCモータについて
モータを回す回路を作るためには対象であるモータのことを少しくらい知っておく必要があります.
数あるモータの種類の中でも今回は「ブラシ付き DC モータ」を取り上げていきます.ブラシ付き DC モータはロボコンにて最も広く使われているモータであり(yuqlid調べ)ロボコニストも「モータ」と言われればブラシ付き DC モータを思い浮かべるかと思います. ブラシ付き DC モータの特徴として,
- 直流電圧(DC)を加えれば回る
- 極性で回転方向が変わる
- トルクと電流が比例する
- 主な特性が直線的に変化するので制御がしやすい
- ノイズが発生する
- 摩耗が生じる
といったところでしょうか.まあこれくらいは…
コアモータ,コアレスモーターの違いについて
ブラシ付きDCモータは更にコアモータ,コアレスモータに分類されます.
モータ内部の電機子鉄心を「コア」と呼びます.コアモータは回転子(ロータ)とコアが固定されており,コアに巻線が固定されています.よって,コアモータはコアとロータが共にに回転します.対して,コアレスモータはコアがロータと共に回転しません.コアレスモータは巻線のみが回転するのでムービング・コイル型モータとも呼ばれます.コアレスモータがコアモータより優れている点として,
- ロータ慣性モーメントが小さく,モータの時定数が小さい
- 電機子のインダクタンスが小さいので清流特性が良い
- コギングトルクが非常に小さい
という点ですかね.欠点としては
- コアに接していないため,熱容量が小さいので熱に弱い(焼損しやすい)
- 製造方法が複雑なため,コアモータより基本的に高価
コアレスモータとしてよく知られている&ロボコニストがよく知っている製品に MaxonMotorがあります.スイス性の黒いモータです.
コアモータとしてはマブチモータが有名でしょうか.以下のPDFはモータの内部構造の図がわかりやすくかいてあります.
http://www.maxonmotorusa.com/medias/sys_master/8803450617886/maxonDCmotor-Notes.pdf
モータの性能の一つとして「時定数」というものがあります.機械時定数と電気時定数があります.
- 機械時定数…ロータ慣性モーメントに依存し,ロータが回り始めてから最高回転数の 63.2 %に達するまでの時間
- 電気時定数…モータの内部抵抗,インダクタンスに依存し,電圧を与え,電流が定常値の 63.2 %に達するまでの時間
一般的な DC モータでは電気時定数は機械時定数より一桁小さいです.この時定数というパラメータはモータの制御や,モータドライバのPWM周波数を決定するものなので頭の隅においておきましょう.
今日はこれくらいで